ジャミング・スプーフィング時代のナビゲーション戦略
- Union Co Ltd

- 6月19日
- 読了時間: 4分
Assured PNT — GNSS に頼らない航法の実現
GPS/GNSS 信号への脅威が深刻化する現代、VectorNav の慣性航法技術がいかに ジャミング・スプーフィング環境下でも正確な PNT(Position, Navigation, and Timing) を維持するかを解説します。

なぜ今、GNSS の脆弱性が問われるのか
GPS をはじめとする GNSS 衛星は、地表から約 20,000〜25,000 km の中軌道(MEO)を周回しています。 その到達信号は極めて微弱で、周囲のラジオノイズにすら埋もれてしまうほどです。 この本質的な弱さが、現代の電子戦における最大の攻撃面となっています。
ジャミング(妨害)
強力なノイズ信号を GNSS 周波数帯に照射し、受信機が正規の衛星信号を捉えられなくする攻撃。 航空機・船舶・自律機体の測位が完全に失われ、航法不能に陥るリスクがある。 比較的安価な機材で実行でき、近年の紛争地帯で広く使用されている。
スプーフィング(欺瞞)
正規の GNSS 信号に見せかけた偽信号を送信し、受信機を誤った位置・時刻情報に誘導する攻撃。 ジャミングよりはるかに危険で、システムは「正常に動作している」と認識したまま 誤ったナビゲーションデータを参照し続ける。検知が困難なのが特徴。
近年の戦域では、GPS ジャミングが日常化し、 民間航空・海運・ロジスティクス分野でも影響が報告されています。 中東・バルト海・北極圏でも同様の事例が急増しており、これはもはや軍事ドメインだけの問題ではありません。
INS が「最後の砦」になる理由
慣性航法システム(INS)はジャイロスコープと加速度計によって機体の動きを直接計測するため、 外部からの電波信号に依存しません。これが GNSS 妨害環境下での根本的な強みです。 VectorNav は創業 2008 年以来、Extended Kalman Filter(EKF)ベースのセンサフュージョンを 継続的に進化させ、防衛・航空宇宙・海洋・ロボティクス分野の世界 65 カ国以上・数万台に搭載してきました。
EKF タイトカップリング ― フライホイール動作
航空宇宙グレードの拡張カルマンフィルター(EKF)が GNSS と IMU をタイトカップリング。 アダプティブチューニング・アダプティブフィルタリング・四元数ベース演算で 400〜800 Hz の高レートドリフト補正を実行。GNSS 遮断瞬間に入力を切り離し、 補正済みパラメータのみで慣性フライホイール航法を継続します。
マルチ周波数 / マルチコンステレーション GNSS
タクティカルシリーズは L1/L2/L5/E1/E5a/E5b のマルチバンド受信機を搭載。 VN-210-S はトライバンド(L1/L2/L5/E1/E5a/E5b)、VN-210E はデュアルバンド(L1/L2/E5b)対応。GPS・Galileo・GLONASS・北斗(BeiDou)・QZSS・NavIC・SBAS の 7 コンステレーションに対応し、 ジャマーが特定周波数を狙っても他の周波数・衛星系でバックアップできる多重冗長構造。
SAASM / M-Code 外部レシーバー統合
VN-210(E) / VN-310(E) は SAASM および M-Code GPS レシーバーをネイティブサポート。 BAE Systems の MicroGRAM-M・MPE-M などのプラグ&プレイ M-Code レシーバーを AUX ポート経由で統合し、軍用暗号化信号による耐ジャミング性を獲得。
外部 FOG(光ファイバージャイロ)・RLG(リングレーザージャイロ) IMU との統合で方位の冗長性も確保できます。
Iridium STL® 連携 ― GPS の 1,000 倍の信号強度
2025 年 4 月、VectorNav は NAL Research と共同で Iridium® STL(Satellite Time & Location)信号援用 INS の開発を発表しました。 Iridium STL は低軌道(LEO)から送信されるため、通常の GNSS より 約 1,000 倍強い電力で到達します。 屋内・都市キャニオン・GNSS 遮蔽環境でも測位を維持でき、 ジャミングへの耐性が飛躍的に向上します。
VN-210E は 2 本のシリアルポートを備え、Iridium STL レシーバーを含む外部 PNT ソースを接続可能。継続的な高レート位置・速度・姿勢解が得られます。
速度補助センサー & 非 GNSS ナビゲーション(R&D)
タクティカルシリーズはセンサーハブとして機能し、アンチジャミング/アンチスプーフアンテナ・ スマートレシーバーを外部統合可能。現在研究開発中の速度補助センサーとして、 対気速度・ビジュアルオドメトリ・LiDAR・レーダーオドメトリ(SAR)を検討中。 非 GNSS ナビゲーションとして LEO 衛星信号・ビジョンベースナビゲーションの実装も進行しています。
タクティカルシリーズは単なる INS センサーではなく「航法フュージョンハブ」として設計されています。 陸・海・空・宇宙のどのプラットフォームでも、同一アーキテクチャで多様な PNT ソースを統合可能です。
日本でのお問い合わせ
VectorNav製品(VN-100/110/200/210/300/310)の日本国内での販売・技術サポートは、正規取扱いの有限会社ユニオンが承ります。ジャミング・スプーフィング対策の構成、SAASM/M-Code・Iridium STL援用INSの導入可否、お見積り・納期まで、お気軽にお問い合わせください。




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